【ネタバレあり】ボヘミアンラプソディーと私

映画

 

「僕はパフォーマーさ」

ちょっと寂しげに、フレディはつぶやく。

 

Queenのデビューは、丁度私がこの世に生を受けた年で、
今年私は、フレディがこの世を去った歳になってしまった。

そして、この映画の誕生。

その事実を、エンディングで知る。

 

Queen誕生から、フレディが存在していたのと同じ年月が経ったこの年。

「ああ、それで今年映画になったのかな」

偶然かと思ったが、そういう経緯も実際にあったのかも知れない。

 

でも、それはそれ。

フレディが元々グラフィックデザイナーだということも、
今、同じデザインを生業としている私にとって、
偶然以上のものを、ひしひしと感じざるを得ない。

 

なんだか信じられない想いと、
運命を感じながら、映画館を後にした。

 

少し寒さを感じる季節になり、小雨の中家路に着いたが、
まだボーッとしている。

 

そしてLive aidの映像をまた観たくなり、YouTubeにアップされている、
Queen関連の動画を流しながら、余韻に浸ってこれを書いている。

 

本当は公開初日に観たかったけど、どうしても仕事が終わらず、
結局4日も過ぎてしまった。

 

たまたま地方の友人が東京に来るということもあり、
有楽町の近くで会うことになったので、
帰りにその足で日比谷の映画館へ。

 

入り口でワインフェアを開催していて、
無料ですのでどうぞと言われたが、
この映画だけは、シラフで堪能したいと思い、
丁重にお断りした。

 

丁度、IMAXで上映しているということもあり、
迷わず500円多く払い、

「ああ、やっと辿り着いた。」

という感慨深い思いと共に、鑑賞券を手に収める。

半年以上前から公開が決まっていたので、
心待ちにしていたのだ。

もちろんパンフレットも購入。

黒地にラメがあしらわれ、中央にはお馴染みのエンブレム。

 

 

私のQueenとの出会いは、
中学生の時に、兄が持っていた1枚のレコード。

『THE GAME』

当時は兄の影響もあり、他の洋楽も傍で聞いてはいたが、
あまり興味はなかった。

丁度日本ではバンドブームで、
私はそっちに夢中になっていたからだ。

 

そんな状態で、アルバム『THE GAME』を聴いた瞬間、
身体中に電撃が走る。

「なんだこれ・・・」

フレディの歌唱力はもちろんのこと、
『Play the Game』の美しいハーモニーが全身を襲ってきた。

 

ジャケットに写っているのは、決して見惚れることのない、
おっさん4人。

「でもカッコいい。。」

特に、日本名の「自殺志願者」という表記も曲名にあり、
衝撃を受ける。

「どんな曲なのよ。」

ちょっと半笑いになりそうになりながらも、
どうしても先に聴きたくなってしまった。

 

今では考えられないかも知れないが、
レコードというのは、曲名に合わせて選曲するのが難しいのだ。

 

慎重にレコードの7局目をめがけ、針を落とす。

「チリチリチリ」

しかし、スピーカーから流れてきた音楽は、
曲名とは裏腹に、なんとも明るい曲調。

そのギャップがまた、私を虜にさせるのに十分すぎるものだったのだが、

・Another One Bites the Dust
・Crazy Little Thing Called Love
・Sail Away Sweet Sister

など名曲揃い。

そしてダメ押しの『Save Me』。

鳥肌が止まらなかった。

 

そこから、私のQueen人生が始まる。

 

フレディがこの世を去ったのは、
私が高校生の頃。

 

学校へ行く前に新聞で知り、衝撃を受け、

「とうとうこの目でQueenを見ることは叶わないのか。」

と、目を赤くしながらスクールバスに乗った記憶が蘇ってきた。

 

ちなみにマイベストアルバムは『QueenⅡ』

ジャケットもさることながら、
アルバム全体の完成度は異常である。

特に後半(B面)の、The March of the Black Queenからの、
いわゆるブラックサイドは、ひとつの物語として完璧に成り立っている。

何度聴いても飽きのこない、素晴らしい芸術作品。

 

曲に関しては、選び切れないほどあるので割愛。

 

・・・・・と

前置きが長くなってしまったが、
Queenのエピソードを書くと止まらなくなるので別の機会にして、
この辺で、今回の映画の感想を書こうと思う。

 

ここまで読んでいただいた方には申し訳ないが、
正直、私には物足りないというのが本音である。

あれは、編集が悪いとしか言いようがない。

 

ええ、泣きましたとも。
劇中に何度も。

 

ただ、

「フォーカスするの、そこ???

フレディに恨みでもあるの???」

というほど、フレディの「ゲイ」ばかりに注目していたのが残念極まりない。

 

そりゃあフレディの内面を描こうとすると、
こうなることは覚悟していた。

だからこそ、絶対に一人で観に行くと決めていたのだ。

 

しかしあそこまで表現しなくても、
もっとファンが観たかったシーンはたくさんあるはずなのに、
なぜあの編集にしたのかが、どうしても納得行かない。

ネットの情報では、カットした曲やシーンは、
まだまだたくさんあったらしいので余計である。

 

そしてフレディ役のラミ・マック。

似てる。
確かに似てはいるが、やはりフレディとは別物。

どうしても、あのオーラが感じられなかった。

 

それは仕方ないけれど、もっとパフォーマーとしてのフレディの魅力を、
全面に押し出す編集をしていれば、彼への評価も変わったかも知れない。

 

Yahoo!映画の評価は高いが、
そこまでQueenのファンではなさそうな人が、
高評価を付けていた印象だ。

それはそれで嬉しいことなのだが、
どこかモヤモヤが残ってしまった。

 

あの前歯とか、、やりすぎでしょ。笑

ブライアンメイは完璧だったけど。

 

しかし、良かった面も多々ある。

 

・・・もう。

映画が始まる前の20th Century Foxのオープニングから、
Queen仕様ですもの。

あれは、ファンなら気付いたはずだが、
予備知識のない人が観ても気付かないであろう。

なんともニクい演出である。

 

と思ったら、サントラの一発目に入ってたという・・。

 

前評判からオープニングまでの多大なる期待の中、
いよいよ本編が始まった。

 

フレディが眠りから目覚め、大きく呼吸をするシーンから始まり、
これから、本名であるファルークバルサラから、
”フレディマーキュリー” が誕生する物語が始まることを示唆するワンカット。

ブライアンメイとロジャーテイラーが活動していたバンド
『Smile』のファンであったフレディの出会い。そしてQueenの誕生。

”あの”独特のマイクパフォーマンスが誕生する瞬間。

最愛の人、メアリーとのエピソード。

初期のロゴをデザインするフレディ。

伝説の曲、ボヘミアンラプソディーの作成秘話。

自分がゲイだと認識した瞬間の戸惑い。

プロデューサーとの対立。

ラジオ局での逸話。(※私の知ってる話と違う?)

その他名曲のできる瞬間や、レコーディングの再現。

「QUEN does not use the same technique」の拘り。

常に進化しようとする姿勢。

メンバーとの衝突と解散の危機。

自分にはQueenのメンバーじゃないとダメだと悟ったソロ活動。

父親に認められ、抱き合うシーン。号泣。

AIDSと戦いながらも挑んだLIVE aid。圧巻。

最後はフレディの死。

 

天才であり、非凡であるが故の苦悩と、
孤独を避けるために、狂乱の日々を送ってきたフレディを、
描いたところは素晴らしかった。

ずっと鳥肌が立ちっぱなしだった。

 

「僕はパフォーマーさ」

そのセリフが、いつまでも心に残る作品。

 

ノーカット版も世に出ることを切望しながら、
今回の映画の感想を終わりにします。

 

でも、もう1回は最低でも観に行こう。

これは劇場で観るのが一番だから。

 

できればまた、IMAXで。

 

Bohemian Rhapsody 英詩 和訳 コード

このビデオが、音楽史上初のプロモーションビデオとなるのだが、
こういうことを、サラッとやってしまうフレディは、
やっぱり生粋のアーティストなんだよなあ。

 

1ミリも妥協を許さず、常に進化し続けたQueen。

成功者は、成功者なりの行動をしているのである。

 

改めて、私もアーティストでありたい。
表現者であり続けたい。

そう思わせてくれた作品でした。

 

※ボヘミアンラプソディのラジオでの逸話は昔の記憶だと、ラジオパーソナリティが曲を聴いて衝撃を受け、「一度には流せないから少しずつね」と、何日かに分けて放送したことで話題になり、「あの曲はなんなんだ!?」と、逆にリスナーの興味を誘ったと、どこかで聞いたか見たかした覚えがあるんですが、知ってる方いるでしょうか?映画ではフレディの知り合いであるパーソナリティに頼んでかけてもらったという話になっていましたが、こっちが本当なのかもですね。

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